教員100人超駆け込み退職 手当削減方針 県教委「影響は軽微」 静岡
産経新聞 2013年3月5日(火)7時55分配信
今月20日以降の定年退職者を対象にした退職手当の大幅削減方針に伴い、県内で100人以上の教員が手当削減前の“駆け込み退職”を申し出ていることが4日、複数の関係者の話で分かった。関係者の一人は、「ある程度の駆け込み退職者が出るとは予想していたが、これほど多いとは思わなかった」と驚いていた。県教育委員会は現在、19日以前の退職希望者を集計中で、学校現場が最も忙しい年度末直前の駆け込み退職者はさらに増えそうだ。
県は開会中の県議会2月定例会に、今年度から定年退職者の退職手当を引き下げるための関連条例案を提案している。閉会日の19日に採決予定で、可決されれば20日から施行される見通し。
条例案が成立すれば、今年度定年退職予定の県職員や教職員、警察職員のうち3月20日以降の退職者は、同19日以前の退職者に比べて、退職手当が120万〜150万円削減される。県教委によると、手当削減対象となる教職員は589人。
もっとも、県内の学校は19日に修了式を迎えて20日から春休みに入るところが大多数を占める。このため県教委では「授業に支障があったり担任が年度途中で交代するといった、生徒への実質的な影響はほとんどない。中途退職者が職務を投げ出したわけではない」と擁護。教職員組合側も「長く勤めるほど退職金が減額されるような制度に問題がある。150万円は大きな金額で、生徒に支障が少ない年度末に少し早く退職することを駆け込みだと非難されるのは筋違いだ」と反論した。
しかし、ある教育関係者は「教員の早期退職は一般の公務員よりも影響が大きいだけに、これだけ数が多いのは残念。誇りと自覚を持って最後まで勤め上げてほしかった」と嘆いていた。
公務員の退職手当引き下げをめぐっては、静岡市と浜松市も同様の条例案を市議会に提出しているが、いずれも駆け込み退職を防ぐため施行日を4月1日としている。